2026-10-29

最近、お客様から売却のご相談をいただく中で、登記名義人(所有者)の方が認知症を患っているというケースが非常に多くなりました。
果たして、ご親族の方が売却をしてしまって問題はないのか。それとも売却はできず、相続するまで待ち続けなくてはいけないのか。皆様の疑問は尽きません。
今後も増えていくことが予想されますので、この記事では、登記名義人が認知症の場合に不動産を売却できる方法を、法定後見・任意後見・家族信託の3つに分けてご紹介します。
この記事でわかること
・登記名義人が認知症の場合、不動産の売却はできるのか
・法定後見人と任意後見人の違い
・家族信託とは何か、いつ準備を始めるべきか
この記事のQ&A目次
Q1.認知症の方の不動産を、家族が代わりに売却できますか?
A.家族でも自由に売却はできません。所有者本人の意思表示が必要で、後見制度などの手続きを踏めば売却できる場合があります。
Q2.法定後見人が本人の居住用不動産を売却するには?
A.居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要です。申立てから引渡しまで、数ヵ月かかるのが一般的です。
Q3.任意後見制度と家族信託の違いは何ですか?
A.どちらも本人に意思能力があるうちに契約します。任意後見は監督人の選任が必要で、家族信託は家庭裁判所の関与なしで契約できます。
Q4.不動産売却の準備は、いつから始めればよいですか?
A.本人に意思能力があるうちに準備します。まず査定で不動産の価値を知り、誰にいつ託すかを検討しましょう。
結論から言うと、一定の手続きを踏めば売却できる場合もありますが、ご親族でも自由に売却することはできません。その理由と、売却するための方法を整理します。
詳しく解説していきます!
不動産は、所有者である登記名義人が売却する意思表示を行わないと、他人へ名義変更できない仕組みになっています。不動産は大切な財産であり、たとえご親族であっても、本人以外が自由に売却できてしまっては大変です。財産をめぐってご親族の意見が対立することも、実際にあり得ます。
本人に意思能力がない状態で行った売買契約は、法律上無効です。民法第3条の2では、意思表示をしたときに意思能力がなかった場合、その法律行為は無効と定められています。
認知症のように本人が自分の損得を理解できない状態で売却できてしまうと、悪意を持った相手方に不当に低い代金で売買契約を結ばされる恐れがあります。そのため、意思能力がない人の契約行為を無効にする決まりがあるのです。
認知症の方の不動産を、一切売却できないわけではありません。本人が不動産を所有していても現金化できず、生活費や施設費用に困ってしまうとなれば、本人を守るはずの法律が足かせになってしまいます。
この状況を解決する方法として、次の3つがあります。
・法定後見制度
・任意後見制度
・家族信託
法定後見制度は、3つの方法の中で最も多く活用されている方法です。ただし、後見人の判断だけで売却することはできず、家庭裁判所の許可が必要です。
詳しく解説していきます!
法定後見制度は、本人の判断能力がなくなった後、ご家族などが家庭裁判所に申立てをし、家庭裁判所が選任した後見人が本人を支援する制度です。後見人には、ご親族ではなく、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれる場合もあります。
後見は、売却が終わった時点で自動的に終了するわけではありません。原則として、本人の判断能力が回復するか、本人が亡くなるまで続き、専門職が後見人になった場合は報酬が継続して発生します。申立てをする前に、この点を知っておくことが大切です。
後見人であっても、本人の所有する不動産を自由に売却することはできません。
例えば、本人が今まで住んでいたマンションや一戸建て住宅を売却して、入所する老人施設の費用にあてたい場合でも、後見人の判断だけで勝手に売却することはできません。家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立てをし、許可が下りてから売却することになります。
法定後見の申立てから審判までには数ヵ月かかるのが一般的です。さらに、居住用不動産処分許可の手続きがスムーズに進んでも約1ヵ月かかります。そのうえ、売買契約を結んでから引渡し(売買代金を受け取る日)までは、ケースによって異なりますが、仮に2ヵ月かかったとします。
お金が必要になっている状況の中、どれだけスムーズに進んだとしても、手元にお金が入るまで半年前後かかるという点を、ご家族の方には知っておいていただきたいポイントです。
それでも、本人が毎日豊かに生活していけるよう、本人に成り代わって支援ができる大切な制度です。時間はかかりますが、どうか前を向いて手続きを進めていただきたいと思います。
任意後見制度と家族信託は、どちらも本人に意思能力があるうちに契約しておく備えです。早めに準備しておくことで、ご家族や身の回りのお世話をしてくださる方の救いになるかもしれません。
詳しく解説していきます!
任意後見制度は、将来の認知能力の低下に備えて、本人の意思で後見人を選び、公正証書で任意後見契約を結ぶ制度です。重要なのは、本人の意思表示ができるうちに任命することです。この人なら自分の不利益になることはしないだろうと判断できるときに選び、契約で定めた範囲で本人に代わって行える内容を決めます。
法定後見が家庭裁判所での手続きであるのに対し、任意後見は公正証書による契約で、受任者に与える権限を定めます。その権限に不動産の売却が含まれていれば、本人が認知症になった後、任意後見人の判断で売却を進められる点が、法定後見との大きな違いです。本人のためにお金が必要になった場合に、現金化を進めやすくなります。
なお、任意後見人に後見を始めてもらうには、任意後見監督人の選任も必要です。監督人は、判断能力がなくなった後も、任意後見人が良識をもって本人のために財産管理をしているかをチェックする役割です。監督には一定の費用が発生するため、いつからスタートするのかに注意しておく必要があります。
最近、存在感を増してきているのが家族信託です。本人に意思能力があるうちに、信頼できるご家族などに財産の管理や処分を託す信託契約を結びます。こちらも、意思能力があるうちに契約することがポイントです。
任意後見との違いは、家庭裁判所の関与を必要とせず、受託者との間で権限を決められるため、当事者同士の意向に沿った内容にしやすい点です。不動産の名義も、形式上、受託者の名義で登記されます。
当事者同士の契約なので監督人の選任は必須ではありませんが、信託契約は司法書士などの専門家に手続きを依頼するのが一般的で、手続き費用をお支払いする必要があります。その代わり、任意後見監督人のように、契約が続く限り監督の費用が発生し続ける仕組みではありません。
任意後見制度と家族信託のどちらが合うかは、その時の状況や、財産を託せる人がいるかどうかによって変わります。二つの違いを整理します。
すでに本人の意思能力が失われている場合は、任意後見も家族信託も新たに契約することができません。その場合は、前のセクションで解説した法定後見制度を検討することになります。
どの方法を活用するにしても、一定の時間がかかります。いざお金が必要になったときに困らないよう、事前に準備を進めておくことが重要です。
詳しく解説していきます!
事前の準備ができるのは、不動産の所有者であるご本人です。あとのお世話をしてくださる方に、できるだけ負担をかけたくないと、どなたも思うことでしょう。
最初の一歩は、ご自身の所有する不動産の価値を知ることです。売却したらいくらになるのか、売却するにはどの程度の時間が必要になるのかを把握しておくと、後の判断がしやすくなります。
当店では、土地・一戸建て・マンションの無料査定を行っております。
価値と期間がわかったら、誰に、いつのタイミングで託していくのが良いのかをシミュレーションしておくことをお勧めします。当店では、司法書士・税理士と提携し、専門的なご相談にも対応していただけますので、お気軽にお問い合わせください。
株式会社不動産のいろは屋について
株式会社不動産のいろは屋は、JR中央本線春日井駅南口から徒歩1分、店舗前に駐車場もご用意しています。社名のとおり、不動産売却の「いろは」の「い」からひとつひとつ丁寧にお伝えし、安心・納得して売却を進めていただくことを第一にしています。
仲介・買取オークション・自社買取・買取保証付き仲介・リースバックの5つの売却プランから、お客様ご自身で納得して選んでいただけます。将来の売却に向けた準備から相談できる、無料の不動産売却セミナーも行っています。急かすことなく、お客様が安心・納得して売却できる支援を大切にしています。
監修:松波 睦(宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続診断士/住宅・不動産業界経験約19年)
監修者のプロフィールを見る資格:宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続診断士
この仕事をしていると、お客様はもちろん、同業者様、司法書士の先生、測量士さん、銀行の職員さん、住宅会社の担当者さん、解体業者さんなど、日々沢山の方々と接しています。皆さんのお力をお借りして、お客様に良いサービスを提供できていることを感謝して、関わった皆さんからもありがとうと言ってもらえる仕事をしていきたいと思います。
【マンガでわかる】春日井の実家相続・不動産売却の相談なら「いろは屋」
~トラブル事例紹介~ 相続登記編
傾いた中古戸建、そのまま売却or土地として売却?
【不動産売却の知識】 売却予定者の4人に3人は「売却方法の種類」を知っているが、メリット・デメリットまで把握できている?
この記事のハイライト ●土地の公的評価額には、3つの評価額がある●接道義務を満たさなければ、建物を建てることができない●整形地でも間口が狭ければ、土地の査定価格は低くなる ...
2022-06-21
この記事のハイライト ●現状のまま売却すれば、固定資産税の特例を受けることができる●更地にすれば、管理の手間が大幅に減る●空き家を売却する際には、譲渡所得税などの費用がかか...
2022-06-21
この記事のハイライト ●離婚を機に不動産売却する場合には財産分与として夫婦それぞれ半分ずつ資産を分けることになる●残債がほとんどない場合には仲介による売却をおこない、即現金...
2022-07-19
この記事のハイライト ●相続時にはそれぞれの問題ごとに専門の士業の方々に相談すると良い●相談料は、1時間あたり5,000~10,000円が相場価格となる●売却の流れとして売...
2022-07-19