傾いた中古戸建、そのまま売却or土地として売却?

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この記事のハイライト
●建物に傾きがある場合、そのまま売却して良いのか?解体して土地として売却するべきか?
●瑕疵のある物件を売却する場合の注意点
●中古戸建or土地、売却時のそれぞれのメリット、デメリットとリスク

今回は、築古の中古戸建を売りたいとお考えの方、建物に不具合があるのをご心配されている方には是非ご一読いただきたい特集です。

査定依頼の内容と調査結果


先日、お客様からのご依頼をいただき、中古戸建の査定に訪問しました。
築年数は約20年。
転居されてから2年ほど経っており、その間は空き家とのことでした。
一般的には必要な補修やリフォームをして、そのまま住み続けることが多い年数です。
でも、今回の建物は少し様子が違います…。

まずは建物の外部から確認をしていきます。
外壁の白化が目立ちますが築年数なりで、塗装をすれば問題ありません。
西日がよくあたる影響か、西側の壁面の目地材がほぼ取れてなくなっています。
一番気になったのがひび割れです。
サイディングを固定する釘打ちをしたところや、サッシまわりにヒビが目立ちます。
他にも犬走に打設されたコンクリートも割れて隆起や沈下があったり、境界フェンスや門柱が傾いていたり、駐車場も一部が凹んで水たまりができるようになっています。

売主様に状況をお伝えし、建物の中も調査しました。
当店では、中古戸建やマンションを安心してお取引していただけるよう、建物状況調査(インスペクション)を行います。通常、建物状況調査の資格を持った建築士に依頼をするのですが、今回は明らかな不具合が何カ所もあったので、まずは私が簡易調査を行いました。

水平器や下げ降り、打診棒などを取り出し、疑わしい個所を確認していきます。
予想通り建物の傾きが確認されました。
建物の四隅の内、1カ所が沈んでいる状態でした。
サッシがひし形に変形し、ドアの上部は閉まっているのに下部は開いていたり、窓が開閉できない箇所があります。
外壁のひび割れは、建物が傾いたことにより形が歪み、釘打ちで固定されている箇所が耐えられなくなり割れたものでした。

売主様に調査結果をお伝えすると、とても困惑されておられました。
内装や設備などは築年数の割に綺麗で、リフォームしなくても使えるものも多々ある状態だったので、売主様が戸惑われるのも無理はありません。
果たしてこのような場合、そのまま中古戸建として売却をして問題はないのか、あるいは修理をして売却をするべきなのか、はたまた解体して土地として売却するのが適切なのか。
それぞれのメリット、デメリットやリスクについてまとめていきます。


傾きのある中古戸建を、そのまま売却して良いのか?


結論からお伝えすると、売却することは可能です。
ただし、傾きやその他の不具合を買主様にしっかりとお伝えしないと、後々大きなトラブルになる可能性があります。
まずは最低限、知っている不具合はお伝えする義務が売主様にはあります。
伝えしまうと買ってもらえなくなると考え隠して売却すると、告知義務違反として修理や売買代金の減額、違約解除の対象となり、損害賠償を支払わなければならない事態になりかねません。
現在、国土交通省が中古戸建、中古マンションの取引を安心して行えるよう、建物状況診断の実施を推奨しています。
当社もこれに準じて、売出し前に調査を行い、その診断結果を売主様、買主様に明らかにして、お互いの認識のズレをなくし、後々のトラブルが起こらないようにしています。
このように、売主様、買主様の双方が正確に現状を把握し、引渡し後に不具合が生じた際はどちらが修補の責任を負うのかが明確になっていれば、傾いたまま売却することは可能となります。

でも現実的に、そのまま買いたい買主様は見つかるのでしょうか?
中古戸建と土地、売却時のメリット、デメリット、リスクについて解説します。

■傾いたまま中古戸建として売却する場合


メリット
・解体費用がかからない。
・解体後の滅失登記が不要。
・解体工事をしない分、早く引渡しが完了でき、売却金を手にできる。
・条件の適応する空き家であれば、春日井市では買主様に補助金が支給される。

デメリット(リスク)
・細心の注意の元、契約を進めないと、後々トラブルになる可能性がある。
・買主様が住宅ローンを利用される場合、銀行が貸し出しできないと判断される可能性がある。
・購入希望者が見つからず、売却期間が長期化する可能性がある。
・瑕疵保証保険に入れない。

■解体更地で土地として売却する場合


メリット
・契約不適合責任の対象が限定的となるので、安心して取引ができる。
・早く購入者が見つかる可能性が高まる。
・条件が適応すれば、春日井市より解体補助金が支給される。

デメリット(リスク)
・解体工事費用が必要な分、手元に残るお金が少なくなる。
・解体工事をした際に、地中内から撤去が必要なものが出てきた場合、別途費用が必要となる。

こちらも合わせてお読みください!→ 契約不適合責任と買主の4つの請求権

■傾きを補修して中古戸建として売却


結論からお伝えすると、こちらは積極的にお勧めしません。
単純に、補修費用と解体費用を比べると補修費用の方が高くなる可能性があり、工事の難易度も補修の方が状況を選ぶからです。
また、傾きに限らず、その他の補修やリフォームをする際も、
・売却代金を受け取るまで、工事費用を手元資金から持ち出すことになる。
・かけた費用の分だけ高く売却できるのか?
・売却期間が長期化しても大丈夫か?
を事前に注意する必要があります。

まとめ


傾いたまま中古戸建として売却すること自体は可能ですが、購入者が見つかるかどうかは別問題。
・購入者や金融機関が許容してもらえる軽微な傾きであれば、そのまま売却が可能かもしれません。
・売買をする際は事前に建物状況調査を行って、建物の不具合を明確にする。
・購入者はかなりデリケート。敬遠される程の傾きなら、解体更地での売却が現実的。

ちなみに今回の売主様には解体更地をお勧めして、土地での売却で進めていくことになりました。
お金も大切ですが、安心・安全なお取引も大切です。
不動産売買でトラブルに巻き込まれる心労は、生半可なものではありません。

不動産のいろは屋では、安心・安全なお取引をモットーに、お客様のサポートをしてまいります。
お困りごとがございましたら、何なりとご相談ください!


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