2026-04-17

離婚で不動産を売却する場合の税金はどうなる?財産分与との違いを解説
離婚と不動産の税金は「財産分与」と「売却(譲渡)」を分けて考えることが重要です。「名義を移すだけ」のつもりでも、実際には税務上の「譲渡」とみなされ、譲渡所得税の対象になる場合があります。
まず基本となる財産分与の仕組みと、不動産売却の譲渡所得の考え方を整理します。
財産分与とは、離婚に際し、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を公平に分ける制度です。現金や預貯金、生命保険、自動車、不動産などが対象となり、不動産については「家そのもの」「持分」「ローン付きの権利」などをどのように分けるかを決めます。
国税庁は、離婚して土地建物を渡したとき、財産分与であっても渡した側に譲渡所得が課税されることを明確に示しています。
現金・預貯金の財産分与には譲渡所得税はかかりませんが、不動産などの資産を渡す場合は、取得時より価値が上がっていると課税される点が重要です。
通常の離婚の財産分与で贈与税がかかることは基本的にありません。財産分与は、夫婦が築いた共同財産を精算する行為と位置づけられるため、受け取る側に贈与税は原則として課税されないのがルールです。
ただし、次のような場合には「過大な財産分与」とみなされ、贈与税の対象となる可能性があります。
離婚を機に不動産を売却する場合、その売却は通常の不動産売却と同様に譲渡所得税の対象になります。譲渡所得はおおまかに次の式で求めます。
取得費には購入価格・購入時の仲介手数料・登記費用、譲渡費用には売却時の仲介手数料・測量費・解体費用などが含まれます。離婚前後で売却する場合も、この基本構造は変わらず、さらにマイホームの3,000万円特別控除や10年超所有軽減税率などの特例が使えるかどうかがポイントになります。
最も大事なのは、離婚時に売却・財産分与しようとしている不動産の所有期間です。
所有期間は、売却した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかで判定されます。居住用不動産については、3,000万円特別控除や10年超所有軽減税率が利用できるケースもあり、離婚前後のタイミングや居住実態を踏まえた検討が必要です。
「離婚+不動産」はケースごとに税金の結果がまったく違います。よくある4パターンを取り上げ、税金と財産分与の関係を具体的なイメージで解説します。
最も典型的なのが、「家を売却→売却代金で住宅ローンを完済→余ったお金を2人で分ける」というパターンです。
この350万円がプラスであれば、所有期間やマイホーム特例の適用状況に応じて譲渡所得税・住民税がかかります。ローンの返済は税金計算上の必要経費にはなりませんが、売却代金から差し引くことで「手元に残るお金」を計算します。
この850万円を夫婦で折半するか、別の割合で分けるかを離婚協議で決めていきます。マイホーム3,000万円特別控除などの特例を使える場合、350万円の譲渡所得部分が控除で相殺され、税額が0円になる可能性もあります。
「夫単独名義の家を、離婚に伴い妻に財産分与で渡し、住宅ローンも妻が引き継ぐ」というケースです。ここでのポイントは次の2点です。
夫側については、不動産にローンが付いていても、時価が取得時より高ければ、その値上がり分に対して譲渡所得税が課税される可能性があります。妻側は財産分与として取得する場合、贈与税は原則かからないとされますが、負担付贈与などに該当すると住宅ローン控除が使えないなどの影響が出るケースもあります。
夫婦共有名義の家を、離婚後にどちらか一方が住み続けるため、相手の持分を買い取るケースもよくあります。
この場合、夫は持分を売ったことになるため、持分に相当する部分について譲渡所得税の対象となります。住宅ローン控除の扱いについても、離婚後に持分を追加取得した場合、控除の要件を満たすように契約・登記を行う必要があります。
家を売らずに名義を動かす場合でも、税務上は売却と同じ扱いになることがある点に注意が必要です。
「離婚を機にマイホームを売却し、新たな住まいを購入するケース」では、売却側ではマイホームの3,000万円特別控除や10年超所有軽減税率が検討対象となり、新居側では住宅ローン控除の要件を満たせるかがポイントになります。
こうしたケースごとの税金・ローン・名義の整理を、司法書士・税理士・弁護士などと連携しながら総合的にサポートしていくことが大切です。
Q1. 離婚の財産分与で家を渡すとき、贈与税はかかりますか?
通常の財産分与として適切な範囲であれば、受け取る側に贈与税はかかりません。ただし、過大な財産分与と判断される場合や、実質的に贈与と同視される場合には贈与税が課税される可能性があります。
Q2. 財産分与で家を渡した側に譲渡所得税がかかるのはどんなときですか?
不動産の時価が取得時よりも高くなっている場合や、住宅ローンを相手が引き継ぐ形で渡す場合など、値上がり益があると判断されるときです。このとき、渡す側に譲渡所得税・住民税が課税されます。
Q3. 離婚で家を売却した場合、マイホームの3,000万円特別控除は使えますか?
離婚を理由に売却する場合でも、居住用財産の要件を満たしていれば、3,000万円特別控除の対象となる可能性があります。ただし、過去の特例利用状況や居住期間など、国税庁が定める条件を満たす必要があります。
Q4. 離婚後に元配偶者から家を買い取った場合、住宅ローン控除は受けられますか?
離婚後の売買や財産分与で取得した家であっても、一定の条件を満たせば住宅ローン控除の対象となるケースがあります。一方で、負担付贈与とみなされる取得方法などでは住宅ローン控除が使えないため、取得形態と時期の設計が重要です。
Q5. 離婚のタイミングによって、不動産売却の税金は変わりますか?
税率そのものは離婚のタイミングではなく所有期間で決まりますが、離婚前後の居住状況や所有形態の変更によって、マイホーム特例や住宅ローン控除の適用可否が変わることがあります。そのため、離婚協議と売却・名義変更のタイミングは一体で設計することが望ましいです。
Q6. 離婚時の不動産について、まず誰に相談すべきですか?
名義・ローン・税金・親権などが絡むため、不動産会社だけでなく、税理士・弁護士・司法書士と連携して相談できる窓口が理想です。特に、税金と住宅ローン控除の扱いは後から修正しづらいため、売却前に専門家へ相談することをおすすめします。
Q7. 財産分与と贈与では税金面でどのくらい違いますか?
財産分与は婚姻中に形成した共同財産の清算と位置づけられるため、受け取る側に贈与税は原則かかりませんが、贈与では受け取る側に贈与税が課税されます。そのため、離婚協議書や公正証書で「財産分与」としての性質を明確にしておくことが税務上重要です。
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