税金計算の要!生前贈与を受けた不動産売却で重要な取得費と譲渡費用とは?
生前贈与を受けた不動産を売却するときの最大のポイントは、「取得費」と「譲渡費用」を正しく計算し、譲渡所得税をできるだけ抑えることです。
私たち株式会社不動産のいろは屋では、愛知県春日井市を拠点に、贈与の段階から売却・申告まで一連の流れを見据え、税金・資金計画も含めた総合的なアドバイスを行っています。本記事では、生前贈与を受けた不動産を売却する際に知っておくべき税金の計算方法について、取得費と譲渡費用を中心に詳しく解説いたします。
この記事のポイント(押さえるべき要点3つ)
- 生前贈与を受けた不動産の取得費は、原則として「贈与者の購入時の取得費」をそのまま引き継ぎます。
- 譲渡所得税は「売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除」に税率をかけて計算するため、経費計上の精度が税額を左右します。
- 贈与税・譲渡所得税・登録免許税など複数の税金が関わるため、事前に専門家へ相談しながら売却タイミングと名義・価格を設計することが重要です。
この記事の結論
- 生前贈与を受けた不動産売却では「取得費」と「譲渡費用」の整理が税金対策の核心です。
- 取得費は贈与者の取得費を引き継ぎ、譲渡費用は売却のために直接かかった費用だけが経費になります。
- 譲渡所得税は「売却金額-取得費-譲渡費用-特別控除」に、所有期間に応じた税率をかけて算出します。
- 贈与時には贈与税、売却時には譲渡所得税がかかる可能性があるため、トータルの税コストを見て贈与・売却の順番や時期を決めるべきです。
- 不動産会社と税理士に早めに相談し、必要書類の保管・概算シミュレーション・売却スケジュールを事前に整えることで、手取り額を最大化しやすくなります。
生前贈与と不動産売却の税金の基本
生前贈与を受けた不動産売却でどんな税金がかかる?
生前贈与を受けた不動産の売却では大きく「贈与税」と「譲渡所得税(所得税・住民税)」が問題になります。一言で言うと、贈与時に贈与税、売却時に譲渡所得税という二段階で税金が発生し得る構造です。
主な税金のイメージは次の通りです。
贈与時にかかる税金
- 贈与税(暦年課税・相続時精算課税などの制度により税額が変動)
- 登録免許税(所有権移転登記)
- 不動産取得税(一定条件で軽減・非課税もあり)
売却時にかかる税金
- 譲渡所得税(所得税+復興特別所得税)
- 住民税(譲渡所得に対する住民税)
具体的なケース
親から評価額3,000万円の土地を生前贈与で受け、贈与税を支払った後、その土地を4,000万円で売却した場合、別途「譲渡所得」に対して譲渡所得税・住民税が課税されます。
「贈与税を払ったから売却時の税金はかからない」という誤解が非常に多く見られます。贈与税と譲渡所得税は別々の税金であり、両方がかかる可能性がありますので、ご注意ください。
譲渡所得税の計算式と所有期間の考え方
最も大事なのは、譲渡所得税の基本式を押さえることです。
譲渡所得 = 売却金額 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除
譲渡所得税額 = 譲渡所得 × 税率(所得税+住民税)
税率は所有期間により変わります。
短期譲渡所得
所有期間5年以下
長期譲渡所得
所有期間5年超
生前贈与の場合の所有期間は、「贈与者が取得した日」から通算する点が非常に重要です。例えば、親が20年前に購入した不動産を今年子へ贈与し、その年に子が売却しても、所有期間は20年以上として「長期譲渡」として扱われます。
長期譲渡の方が通常税率が低くなるため、「贈与後すぐに売ると短期になって損をする」と誤解されるケースがありますが、実際には贈与者の取得日からカウントされるため、多くは長期譲渡の扱いになります。この点は非常に重要なポイントですので、覚えておいてください。
なぜ取得費と譲渡費用が税額を左右するのか
取得費と譲渡費用をどこまで正確に把握・計上できるかで、譲渡所得税の負担が大きく変わります。取得費・譲渡費用が大きくなればなるほど、課税対象となる「譲渡所得」が小さくなるからです。
代表的なイメージは以下の通りです。
- 取得費が高い(購入代金が高い、取得時の諸費用をしっかり把握している)
- 譲渡費用が多い(仲介手数料や解体費用など、経費として認められる支出が多い)
これらを漏れなく計上すると、課税所得が減り、結果として税負担が軽くなります。反対に、領収書や契約書が残っておらず、概算取得費「売却価格の5%」しか使えないと、取得費が小さく計算されるため税額が増えるケースも多く見られます。
税金計算のポイント:取得費とは?(生前贈与のケース中心)
取得費の基本的な考え方とは?
取得費とは「その不動産を手に入れるために直接かかった費用の合計」です。不動産を購入したときの代金だけでなく、購入時の仲介手数料や登録免許税なども含めて計算します。
取得費に含まれる主なものは次の通りです。
- 土地・建物の購入代金、建築代金
- 購入時の仲介手数料
- 売買契約書の印紙税
- 登記費用(司法書士報酬を含む)
- 不動産取得税
- 測量費、造成費など
建物の場合は、取得費から減価償却費を差し引いて計算するため、「建物部分の取得費は徐々に小さくなる」という点にも注意が必要です。
生前贈与を受けた不動産の取得費はどう決まる?
生前贈与の場合の取得費は、「贈与者がその不動産を取得したときの取得費をそのまま引き継ぐ」というルールです。贈与を受けた側の取得費は、贈与時点の時価ではなく、贈与者がかつて支払った購入代金や諸費用を基礎として計算します。
国税庁も、相続・贈与によって取得した土地・建物の取得費は「被相続人や贈与者が買入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算する」と明示しています。
具体的な計算例
- 父が20年前に土地を2,000万円+諸費用200万円で購入
- その土地を子へ生前贈与(贈与時評価額3,000万円)
- 子がその後、土地を4,000万円で売却
この場合、取得費は「2,000万円+諸費用200万円=2,200万円」が基本となり、3,000万円という贈与時の評価額は取得費に使いません。結果として、譲渡所得は「4,000万円-2,200万円-譲渡費用」と計算されます。
取得費が不明なときの「概算取得費」と注意点
最もよくあるお悩みが、「親の購入時の契約書や領収書が残っておらず、取得費が分からない」というケースです。この場合、「概算取得費」として売却価格の5%を取得費とする方法が認められています。
概算取得費 = 売却価額 × 5%
例えば、売却価格4,000万円の場合、概算取得費は200万円となります。しかし、実際の購入代金+諸費用が2,000万円を超えていたようなケースでは、概算取得費を使うと取得費が非常に小さくなり、結果として譲渡所得税が増えてしまいます。
初心者の方がまず押さえるべき点は次の三つです。
- 可能な限り、過去の売買契約書や領収書、登記情報を集めて「実額」で取得費を計算する
- 書類が一部しか見つからない場合でも、分かる分だけ積み上げて実額に近づける
- 概算取得費を使う場合は、実額より税負担が増えるリスクがあることを理解しておく
当社では、権利証・登記簿謄本・固定資産税の課税明細なども確認しながら、税理士と連携して取得費の見積もりをサポートしています。お困りの際はぜひご相談ください。
譲渡費用の内訳と経費計上のコツ
譲渡費用とは?どこまで経費になるのか
譲渡費用とは「不動産を売却するために直接必要となった支出」を指し、この金額を譲渡所得の計算上、経費として控除できます。一言で言うと、「売るために必要だったコスト」は原則として譲渡費用の対象となるイメージです。
譲渡費用に含まれる典型的な項目は次の通りです。
- 不動産会社への仲介手数料
- 売買契約書に貼付する印紙税(売主負担分)
- 建物取り壊し費用(更地にして売るための解体費用)
- 土地の測量費(売却のために行ったもの)
- 売却活動のための広告費(特別な広告を売主負担で行った場合)
- 立退料(借家人に立ち退いてもらうために支払った金銭など、譲渡成立のために必要だったもの)
一方で、固定資産税や火災保険料、日常の修繕費など「所有中の維持管理にかかった費用」は、原則として譲渡費用には含められません。この点は間違いやすいポイントですのでご注意ください。
生前贈与後に発生しやすい典型的な譲渡費用の事例
生前贈与を受けた不動産では、次のような譲渡費用が実務上多く見られます。
- 贈与後に空き家になった実家を売るために建物を解体した費用
- 古い実家の境界が曖昧なため、売却前に境界確定測量を行った費用
- 遠方の親から贈与を受けた土地をまとめて売却するために、複数区画を一体で販売する広告費の一部を負担
例えば、老朽化した実家を生前贈与で受け継ぎ、その後更地にして売却したケースでは、解体費用数百万円が譲渡費用に該当することが多く、これを計上するかどうかで譲渡所得税額が大きく変わることがあります。
当社のような地域密着の不動産会社では、解体業者・測量士・司法書士・税理士などと連携し、単に「いくらで売るか」だけでなく「どのような費用をどのタイミングでかけると最も手取りが増えるか」という視点でご提案しています。
経費計上のために押さえるべき実務的ポイント
最も大事なのは、「あとで税務申告をするときに説明できるよう、根拠資料を残しておくこと」です。譲渡費用として認められるかどうかは、支出の性質とあわせて、領収書・契約書などの証拠の有無も重要です。
具体的なポイントは次の通りです。
- 仲介手数料:媒介契約書、請求書、領収書をセットで保管
- 解体費用:解体工事請負契約書と請求書・領収書を保管
- 測量費:測量成果図、見積書、請求書・領収書を保管
- 印紙税:契約書のコピー(印紙貼付部分)を保存
- 立退料:合意書・金銭の授受記録を残す
特に、生前贈与後に時間を空けて売却する場合、資料の散逸が起こりやすいため、贈与時の登記関係書類と合わせて一式をファイリングしておくことを強くおすすめします。
よくある質問
売却価格から取得費と譲渡費用、特別控除を引いた「譲渡所得」に、所有期間に応じた税率をかけて計算します。具体的な税額は、不動産の取得価格や売却価格、所有期間などによって大きく異なりますので、個別にシミュレーションすることをおすすめします。
ゼロではなく、贈与者の購入時の取得費をそのまま引き継ぐ仕組みになっています。贈与を受けた時点の時価ではありませんのでご注意ください。
売却価格の5%を「概算取得費」として用いることができますが、多くの場合実額より不利になる可能性があります。可能な限り過去の書類を探して実額を算出することをおすすめします。
仲介手数料、解体費用、売買契約書の印紙税、売却のための測量費など、売却を成立させるために直接必要だった費用です。維持管理にかかった費用は含まれません。
所有期間は贈与者の取得日から通算されるため、多くのケースで長期譲渡となり、必ずしも不利になるわけではありません。贈与者が長期間所有していた不動産であれば、贈与後すぐに売却しても長期譲渡として扱われます。
生前贈与では贈与時に贈与税、売却時に譲渡所得税がかかる可能性があり、両方を合わせたトータル税負担で判断する必要があります。どちらの税金も発生し得ることを前提に資金計画を立てることが大切です。
贈与の検討段階または贈与が決まった時点から相談すると、取得費の整理や売却時期の設計を早期に行えるため有利になりやすいです。当社では贈与前からのご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
取得費の考え方は類似しますが、相続税を支払った場合に「取得費加算の特例」が使えるなど、相続特有の優遇制度があります。どちらが有利かは個別の状況により異なりますので、専門家にご相談されることをおすすめします。
一定の要件を満たせば、居住用財産の3,000万円特別控除が適用できる場合があり、贈与の有無だけで機械的に否定されるものではありません。適用要件は複雑ですので、詳しくは税理士等の専門家にご確認ください。
まとめ
- 生前贈与を受けた不動産売却では、取得費・譲渡費用・所有期間の3点を整理することが、税金対策の核心です。
- 取得費は贈与者の取得費を引き継ぎ、譲渡費用は売却のために直接必要だった支出のみ経費になります。
- 取得費が不明な場合の概算取得費は便利ですが、税負担が増えるリスクがあるため、実額の把握に努めるべきです。
- 贈与税と譲渡所得税の両方を踏まえたトータルの税コストで、生前贈与と売却のタイミングを検討することが重要です。
- 私たち不動産のいろは屋では、春日井市エリアでの実務経験をもとに、贈与・売却・資金計画まで一体でサポートし、お客様の手取り最大化を目指したご提案を行っています。
株式会社不動産のいろは屋
愛知県春日井市に拠点を置き、地域に密着した不動産サービスを提供しております。生前贈与を受けた不動産の売却でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。税理士・司法書士等の専門家とも連携し、お客様にとって最適なプランをご提案いたします。


